
登場➜拡大➜変革の時代
登場➜拡大➜次のステップ?
ERP導入が始まった当初1990-2010年代、メインフレーム上の基幹業務が新規構築あるいはリプレースされ、あるいは手作りの基幹業務システムが急速にに標準化・堅牢化されたのをよく覚えています。この時期を境に、どの企業でもITが企業の屋台骨を背負うようになったと言っても過言ではないでしょう。しかしそれから10年以上が過ぎ、スマホやクラウドの登場に代表されるITの民主化が進み、eCommerceやSNSにより買い物や人間関係のスタイルが劇的に変わりました。使いやすいサービスに馴染み、目の肥えた消費者により、個人対企業(B2C)のビジネススタイルが大きな変革を迫られています。目の肥えた消費者は企業内では労働者ですので、企業対企業(B2B)や企業内で使われるサービスも企業間取引・企業向けSNS・経費精算に代表される、従来ERPが担ってきた分野でも、財務・生産など本質的な機能は変わらず残しつつ、消費者から見たビジネススタイル、企業間取引、労働者のワークスタイルを最新のテクノロジーで進化させることで、新たな顧客や成長分野を見つける企業が登場してきています。
このような状況で、企業内でITシステムを企画・運営・管理されている方々は、経営層や業務部門からのプレッシャーを受け新たなテクノロジーの調査・研究・評価に取り組もうとされている状況かと思います。しかし経済が成長期から安定期を経て先行き不透明な時期に差し掛かる今、新規プロジェクトの予算が潤沢なわけではありません。ガートナー社の調査※1では、世界の企業のIT予算の90%は既存システムの維持と保守に費やされており、新規プロジェクトへの予算はわずか10%とのことです。しかし10%の予算では経営層や業務部門の要求するスピードには全く追いつきません。ではどうすればよいのでしょうか?そのような企業のお客様に弊社がご提案するのは、ERPシステムに費やしている膨大な予算を削減し、削減分を新規プロジェクトに振り向けることです。このブログでは、Oracle社のソフトウェアを利用されているお客様が支出を削減しようとされる際の注意点をご紹介できればと思います。
ソフトウェアの利用に当たっては、サポート期限の到来、新機能追加ペースの低下、サポート契約維持のために必要なアップグレード作業コスト、ベンダーへのロックインのリスク、低品質高コストのサポート契約、などの懸念点や課題がありますが、よく考えるとこれらはすべてベンダーの都合である事に気付きます。ユーザーが望んだ結果ではないのです。Oracleのソフトウェア・コストについていえば、システム導入から時間が経過するにつれ、システムは安定しベンダーへの問い合わせが減少しサポート契約の価値が減少する一方、サポート費用は通常年4%ずつ上昇しますので18年間でサポート費用が倍増することにお気づきでしょうか。Oracle ERPやデータベースへの保守費用は年額で数億円に上ることも珍しくなく、上述した維持・保守コストの中でも大きな割合を占めることが珍しくありません。貴社の場合はいくらでしょうか?私たちはこの見直しにより年間サポート費用を半減され、数百万円から数千万円の節約を成し遂げたお客様を数多く見てきました。それでは、Oracle社への毎年の支払い費用の見直しのポイントをご紹介していきましょう。
一つ目は、Oracle社ソフトウェアの通常のサポート契約を締結されている企業向けの代表的なチェックポイントです。即ち、導入したソフトウェアライセンス価格の22%、および年率+4%の費用をずっとお支払いになっている場合です。なお、ULA (Unlimited License Agreement) という一定条件下で無制限のライセンス導入可能な契約を締結されている企業向けのチェックポイントは後述します。
ULA(Unlimited License Agreement) 契約を締結していないお客様
- ライセンスの棚卸 – 実はこれまで複数のプロジェクトを通じてOracle社のソフトウェアを導入してきた結果、自社がどのライセンスを持っているのか、その保守に年間いくらを費やしているのか把握していないユーザーはかなりいます。日本ではパートナー経由で導入されているケースが多いことも、把握しにくくなっている要因です。しかし年間数百万円から数千万円の節減のためですので依然棚卸の価値は小さくありません。
- 不使用ライセンスの再割り当て – ①の結果、あるシステムで使用するライセンスが導入されず余っていることがあります。その場合、システム拡張を計画しており追加ライセンスを必要としているシステムにライセンスを回すことが可能です。Oracle社から購入したライセンスは永久使用可能なライセンスであり、通常このような使いまわしが可能です。
- 余剰ライセンスの放棄 – ご存じのようにOracle社はユーザーが購入したライセンスについて一部のみ保守契約を締結することを認めていません。つまりオール・オア・ナッシングです。従って通常は購入済みライセンスすべてについて保守契約費用が発生しています。それでは、②で見つかった不使用ライセンスを今後使う予定がない場合はどうしたらよいのでしょうか。その場合、Oracle社に所定のTerminationレターと呼ばれる書類を提出し、余剰分ライセンスの永久使用権を放棄することで、その分のサポート費用を削減することが可能です。
- 余剰保守契約の終了 – ③の後、放棄したライセンスの保守契約を解除することで保守費用の削減を期待できます。ただし同一保守契約単位内に放棄ライセンスの契約と残すライセンスの契約が混在していた場合、Oracle社はその保守契約単位の年額保守費用を値上げ(リプライシング)する場合がありますので注意が必要です。混在していなければ大丈夫です。
- 第三者保守への切り替え – 現在業務で使用中のライセンスがあり、障害発生などいざという時にサポートが必要なライセンスについては、その保守契約先をOracle社から弊社に切り替えることによってサポート費用を半額にすることができます。前述のようにユーザーが購入したライセンスに対しユーザーは永久使用権を持ち、そのサポートをどこから受けるかは本来ユーザーに選択権があるのです。
ULA(Unlimited License Agreement) 契約を締結しているお客様
次はULA契約(Unlimited License Agreement)を締結しているお客様向けの代表的なポイントをご紹介します。ULA契約は多くのOracleソフトウェア(特にデータベース製品)の導入がされ、総数が未定の場合に、一定期間内に無制限でライセンスの導入を認める契約です。上手に使えばULA期間中に導入したライセンスを永久使用ライセンスに変換して保有できるお得な契約ですが、無制限という呼称を誤解しライセンス違反となり期間を経過しても終了できず、ユーザーの意図に反してより高額な価格で契約更改を余儀なくされる場合があります。つまりULAには以下の制限があるのです。
- ライセンス種類の制限 – 貴社が無制限使用権を持つライセンス種類は何ですか?それはIT部門の職員やパートナー様などに徹底されていますか?無制限導入許可の対象となるのは契約書に記載されたライセンスのみです。しかし無制限という名称を誤解し、記載外のライセンスを導入しライセンス違反となることがあります。特にOracleデータベースEnterprise Editionのオプション (Tuning Pack, Diagnostics Pack, Partitioning, Advanced Security, Advanced Compressionなど) には運用や開発効率化のため使いたくなるオプションが多くありますが、左記の物はいずれも有償ライセンスです。誤用を防止するライセンスキーのようなしくみは存在しません。ULAの終了条件としてOracle社に実際に使用中のライセンス一覧を申請しCertificationを受けることが必要ですが、ULA期間(例えば3年間)中にこれらを知らずに使っていた場合、購入契約、およびその保守契約を未締結だったものとして、ペナルティを含め過去にさかのぼって数1000万円から数億円の膨大な追加請求を受ける可能性があります。そして、その請求を避けるため、代替案として提示された、値上げされた新ULA契約を新たに締結するしか手段がなくなる場合があるのです。
- 仮想化実施によるロックイン – OracleデータベースのProcessor単位のライセンスは、VMwareやHyper-VなどHypervisorと呼ばれる環境で使われるvCPU(仮想CPU)には適用されないことをご存じですか?100物理CPUのサーバー上に構築された仮想環境で、10個のvCPUを使用するVM内でOracleデータベースを使用する場合、Certification時には使用ライセンス数を100物理CPUとしてカウントし申請する必要があります。これを10 CPUとして申請すると、誤申請となりCertification時に不利に取り扱われる恐れがあります。
- クラウドへのDB導入によるロックイン – 近年のOracle ULAでは、パブリッククラウドへの導入を無制限の対象外とするように読み取れる契約例が散見されます。ULAに基づきクラウドへの導入を検討されている場合、契約書の文面の確認が必要です。クラウドへの導入を対象外とする契約である場合、知らずにクラウド上に導入していると、前述①の後半と同様にライセンス違反として取り扱われる場合がありますのでご注意ください。またクラウド上での必要ライセンス数のカウント方法は、AWS, Azure, GCP, OCI(Oracle社クラウドサービス)のそれぞれで異なりますので、Certification時に正しくカウントして申請する必要がありますので気を付けてください。逆にクラウドへの導入計画がある場合、ULA締結時にそれを許可するよう交渉をお薦めします。
以上、Oracleコストの削減について主要なチェックポイントをご紹介しました。リミニストリートではOracleおよびSAPのソフトウエアコストについて国内で数百社のお客様で削減を実現してきた実績があります。不明な点がありましたら遠慮なく弊社にお声がけください。
※1GARTNER, “IT Key Metrics Data 2020: Executive Summary” December 18, 2019
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