主な理由は「ビジネス上の導入理由の欠如」、「ROIが不明」、
「実績のないプラットフォーム」、「初期段階の製品」
現在HANAを導入している回答者はわずか3パーセント
米フロリダ州オーランド — SAPPHIRE NOW・2015カンファレンス- SAPのBusiness suiteやBusinessObjects、オラクルのSiebel、PeopleSoft、JD Edwards、Oracle® E-Business Suite、Oracle Database、Oracle Middleware、Hyperion、Oracle Retailなど、エンタープライズ・ソフトウエア向けの保守サービスを提供する独立系企業であるリミニストリートは、同社が最近実施した世界規模の調査結果を発表しました。
本調査は、SAPが新たに発表したS/4HANA製品とHANAへの移行を取り巻く多数の疑問や課題に企業がどのように対処しているかについて聞き取りしたもので、SAPのライセンシーの皆様に他社の見解を知っていただくために行なった調査です。
詳細な調査報告書によると、新しいS/4HANAへの移行を検討する場合、既存のSAPソフトウエアの利用者の多くは、4億行以上のコードの書き換えを伴うほぼ全面的な再導入、もしくは移行のための大掛かりなプロジェクトを余儀なくされる見通しです。こうした状況で、以下の知見や情報は、多くのSAPユーザーにとって非常に重要となります。
リミニストリートが実施した今回の調査は、さまざまな業界・職務・企業規模・地域に属する230社以上のSAPビジネススイート・アプリケーション利用企業にご参加いただきました。回答者は北米・南米・欧州・中東・アジア太平洋を網羅しています。
主要な調査結果
調査結果によると、回答者の85パーセントはSAPの新しいS/4HANAの利用をまだ決定しておらず、利用を決意していない最大の理由として、68パーセントがビジネス上の導入理由の欠如と、ROIが不明であることを挙げています。
さらに、回答者の72パーセントは安定かつ成熟した既存のSAP ECC 6.0プラットフォームに留まることを望んでおり、現在インメモリーデータベース製品HANAを利用しているユーザーもわずか3パーセントでした。
また調査からは、ECC 6.0プラットフォームを運用している回答者のうち、最新のエンハンスメント・パック7を導入せず、SAPエンハンスメント・パック6かそれ以前のリリースをそのまま利用している回答者が75パーセントにも上ることが明らかになりました。
リミニストリートの上席副社長兼最高マーケティング責任者(CMO)のデイブ・ロウは、次のように述べています。
「リミニストリートがこの調査を実施したのは、世界中のSAPライセンシーの現状におけるアプリケーション戦略を明らかにするためです。この調査結果は、アナリストの見解や他の機関で行われた業界調査とも一致しており、そこには確固たる傾向が顕著になっています。つまり回答者の多くは、HANAとS/4HANAが実績のない不確かな製品であり、導入コストやリスクに見合うだけの魅力的なビジネス上の導入理由がほとんどない、または全くないとの考えを持っています。多数の回答者によると、現時点でHANAとS/4HANAへの移行に取り組むのは、多大な費用をかけて不要なリスクを招くことになり、ビジネス上の恩恵も明確ではないという結論となっています。」
S/4HANAの利用を決定していないSAPライセンシーが大半
調査対象となったSAPライセンシーのうち、将来S/4HANAが利用可能になった場合に、SAP S/4HANAアプリケーションを利用することを決定しているのは、わずか14パーセントでした。SAP S/4HANAアプリケーションへの移行・再導入・運用について、大半が「しない」(33%)、「するかもしれない」(52%)と回答しています。これら多くの回答者がS/4HANAを見送っている理由の上位として、「確かなビジネス上の導入理由が欠如/ROIが不明」(68%)、「実績がない初期段階の製品」(44%)、「移行および再導入コストが高額」(36%)であることを挙げています。
多くの
SAPライセンシーは実績あるSAP 4.xとECC 6.0アプリケーションを利用して
業務遂行
回答者はS/4HANAに移行する代わりに、安定かつ成熟した既存のSAPアプリケーションプラットフォームに留まることを選んでいます。現行の成熟した実績あるアプリケーションプラットフォームを置き換えずに継続利用する理由のトップは、「現行版でビジネスニーズに対応可能」(43%)でした。ほかには「アップグレードが非常に高額」(37%)や「後で新しいアプリケーションに移行する」(23%)が上位に挙げられています。
最新のエンハンスメント・パックを使用していない回答者は
4分の3
ECC 6.0を運用している回答者の75パーセントが、最新のエンハンスメント・パック7の代わりに、エンハンスメント・パック6かそれ以前のリリースを使用しています。その理由のトップ3は「現在のアプリケーションでビジネスニーズに対応可能」(72%)、「アップグレードが非常に高額」(35%)、「価値ある新機能が欠如している」(30%)でした。
SAPライセンシーは高コスト・低価値なSAPサポートの問題に直面
ライセンシーはSAPのサポートと保守について、「サポートコールが高額」(46%)、「提供されている機能が高額」(37%)、「カスタマイズサポートの欠如」(35%)と回答しています。
「SAPはS/4HANAがクラウド市場で適切な製品であることを示そうとしていますが、SAPのライセンシーは長年運用している安定かつ成熟したSAPアプリケーションから今後も大きな価値を引きそうとしていることが、調査で明らかになっています。これらのアプリケーションは世界中の何万もの組織で、基幹事業を支えています。リミニストリートは、企業が、絶えず変化する今日のソフトウエア環境において直面する困難な課題を乗り切れるよう、全面的に支援する決意でサービスを提供しています。リミニストリートのイノベーション&ロードマップ・サービスに始まり、組織が現行のSAPアプリケーションへの投資から最大の価値を得られるようにしつつ、さらに重要な改革への新たな投資に向けて予算を生み出していただくためのサポートモデルへと続きます。リミニストリートは、SAPのライセンシーが発表された製品を延々と待つことなく、新たな改革をいま行なうことを可能にするのです。発表される製品は市場に投入される前に開発が完了されることは当然で、さらに製品の成熟まで時間を要することで、将来何らかの価値を実際に提供できるかどうかは不明です。」 (デイブ・ロウ)
調査の要旨をダウンロードするには、こちらをご覧ください:https://www.riministreet.com/sapreport2015 (英語版)