ホーム > 11.21.19 IT人材不足、2025年の崖を乗り切るには

IT人材不足、2025年の崖を乗り切るには

 

主要なERPベンダーは、SAP S/4 HANA、Oracle ERP Cloudなどの新しいプラットフォームに移行しており、日本の企業にも影響を与えています。これらの新しいプラットフォームでは、実装、管理、サポートに、今までとは異なるスキルが必要です。多くの現在使用されている古いバージョンのサポートは、2025年頃に終了する見通しで、これらの製品の顧客は、厳しい締切と潜在的なERP人材の危機に直面しています。

しかし、このような大きな変化は、前例のないものではありません。私たちが経験した2000年問題とそのときに起きたメインフレームからクライアント・サーバーシステムやWebへの移行を思い出してください。このときの次世代のデジタルプラットフォームへの移行は、ERPが市場に登場してからそれほど時間が経過していなかったので、最新のERPプラットフォームで長年の経験を持つ人々を見つけることはほぼ不可能だったため、とても大きな飛躍のように感じました。メインフレームの専門知識を持つ人々は、新しいクライアントサーバーとWebプラットフォームを学ぶ必要があり、多くの新規採用者が現場に採用されました。

ただし、人材不足については、より深刻な状況といえます。少し古いですが、経済産業省が平成28年6月10日に公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査」 によれば、「2010年代の後半から2020年にかけて、産業界では大型のIT関連投資が続くことや、昨今の情報セキュリティ等に対するニーズの増大により、IT人 材の不足が改めて課題となっている。」(調査報告書4ページ)、「我が国の人口減少に伴い、労働人口(特に若年人口)が減少することから、今後、IT人材の獲得は現在以上に難しくなると考えられる。こ のように、IT需要の拡大にもかかわらず、国内の人材供給力が低下することから、IT人材不足は今後より一層深刻化する可能性が高い。」(調査報告書4ページ)とのことです。

ERPの人材不足はすでに始まっています。そのときの2000年問題の経験者は、現在、ERPプラットフォームでは「超」のつくベテランです。彼らの知恵は非常に貴重ですが、15年または20年の経験を持つこれらの人々の多くが今、退職に近づいているということです。また、ERPの仕事に必ずしも新しい人材が引き付けられるとは限りません。ERPベンダーは、デジタル革新の次の波が最新のERPプラットフォームを中心に展開すると主張したいかもしれませんが、優秀な若手人材が必ずしもERPの方向に流れているとは限りません。クラウドやモバイルアプリで作業したり、AIなどのERPの範囲外に新しいデジタルビジネスモデルを開発したりする機会が多くあります。また、デジタル関連のプロジェクトに対する需要の高まりと、事業部内のデジタル人材の必要性は、ITリソースに対する社内、社外での新たな競争を生み出すことで、スキル不足の状況を悪化させています。

クラウドで解決するか?
一部の組織では、ソフトウェアをサービス オプションとして採用することで、技術的な責任や作業をクラウドベンダーに移行して、ハードルを下げようとしています。いわゆる、SaaSの採用です。しかし、SaaSを行くことは、アプリケーションのバージョンがベンダーで管理されるため、簡素化されたERPコアを受け入れ、カスタマイズのための機会が減少することを受け入れることを意味します。SaaSは、共通のソースコードを使い、パラメータレベルでのカスタマイズのみが許されるためです。機能性については、ベンダーの将来へのコミットが、重要になります。このオプションは、ベンダーがベスト プラクティスを継続的に改善する戦略に、ユーザーが同意する場合にのみ良い選択になります。ただし、ベンダーが SaaS プラットフォーム上で業界固有の機能とデータ モデルを実装する方法がまだ確立されていない業界ではあまり好ましくないものです。

ソフトウェアのクラウドバージョンを採用すると、いくつかの技術的なハードルを下げるが、それは他の課題のハードルを上げる可能性があります。たとえば、この戦略を成功させるためには、ローカル システムとパブリック クラウド間でデータとプロセスを共有するために必要なハイブリッド IT 専門知識を構築する必要があります。ハイブリッドは複雑性を生みますから、これらのスキルも簡単には手に入りません。

ビジネス戦略で移行を考える
クラウドに移行するにしても、そのサービスの成熟度や機能を評価して、かつ、ビジネス上の戦略と照らし合わせて、移行時期を決める必要があります。ただ、その移行を単独で行う必要はありません。リミニストリートの第三者サポートは、ERPベンダーの保守契約でのサポートに対する支払いが最善ではないと判断した組織の要件を満たすことで成長してきました。ベンダーの最新プラットフォームに移行するためのビジネスケースが見える場合でも、第三者サポートは、移行中のサポートの総コストを削減するのに役立ちます。一方、現在の製品を放棄する理由がない場合、第三者サポートは、ベンダーのサポート期限を過ぎても運用を続けることができることを意味します。これにより、既存の ERP をクラウドに移行したり、追加のソフトウェアやクラウドで機能を拡張したりして、規模の経済から利益を得るなど、他の方法で ERP 環境を最新化する選択肢が得られます。
そして、一番大切なことは、アップグレードするかどうかの選択と、いつアップグレードするかは、みなさんのビジネス上の戦略に基づき決定することです。

Hiroyasu Kitagawa headshot

北川 裕康, マーケティングディレクター

エンタープライズIT領域での30年を超える経験をもとに、お客様の投資対効果の最大化と、イノベーションへのサポートを行ってまいります。また、リミニストリートのグローバルな事業展開と成長を推進してまいります。