ベンダーのサポート契約特有のコストや制約に悩むSAPユーザーに9月末は突然やってきます。
もし貴社が来年度のSAP契約終了を検討しているのなら2023年9月30日までにSAPに契約終了することを伝えなくてはいけません。SAPのサポートを継続することは後からでも可能ですが、乗り換えを希望する場合は、すぐにSAPに知らせる必要があります。
It’s Never Too Early to Plan SAP Support Alternatives
2027年のSAP ECCとBusiness Suiteのメインストリームサポートの終了に多くのSAP ERPユーザーが直面しており、何も手を打たないことは企業にとって新たなリスクです。
サポートが切れることを見越して、不本意ながらも早めに新しいバージョンに移行するユーザーもいますが、サイバーリスクが高まる可能性に直面しているユーザーもいます。
Aberdeen副社長兼特別研究員のDerek E. Brink氏は、ウェビナーで次のように語っています。「SAPユーザーは来年に向けて大きな決断を迫られていることでしょう。なぜなら、毎年9月30日が、翌年度のSAPサポート契約更新を考えていないSAPユーザーが正式な解約通知を行う最終期限だからです。」
景気後退への懸念がコスト削減を促進
Brink氏は、80%以上の企業が2023年の景気後退を懸念しているという調査データを紹介しており、約半数の企業が、不必要な支出の削減、ベンダーの再評価、購入やアップグレードの延期など何らかの予防措置を景気後退時に講じることを計画しています。
ブリンク氏は、SAPソフトウェア・インフラストラクチャーの運用コストを削減し、より良いサポート・オプションの選択やセキュリティ・リスクの軽減が出来るようにしておくべきだと語っています。
リミニ・ストリートの製品マーケティング担当シニア・ディレクターであるScott Haysは、ウェビナーを開催し、SAPユーザーに第三者保守サポートの利点についてアドバイスしています。第三者保守サポートの利点には、ベンダーが提供するサポート期限を超える延長サポート、自社に合わせたマイグレーションパスの決定、コンポーザブルERPへの道筋をつけることの可能性などが含まれ、ユーザーは最適なアプリケーションを使用して、コアERPプラットフォームの周辺をより容易にイノベーションすることができます。
2022年第4四半期の時点で、SAP ECCユーザーの68%が、S/4HANAへの移行を開始するためのライセンスを購入・契約していません。[i] 多くの企業にとって、コストのかかる移行やERPリプラットフォームのプロジェクトは、ビジネスケースとして成り立たないようです。
Haysによると、多くのSAPユーザーは、移行をする必要性やメリットを感じていないようです。「ECC Business Suiteを利用しているユーザーの中には、オンプレミスであろうとクラウドであろうと、アセットを活用し、カスタマイズを利用し続けようと考えているユーザーもいます。」
メインストリームサポートの終了時期が2027年となったことで、SAP ECC/Business SuiteからS/4HANAへの移行を希望しない企業は、現在のSAPソフトウェアをどのように維持するかを計画し、サポートについての決定を早めるべきか遅らせるべきかを判断する必要があります。
Haysは次のように述べています。「どのような規模の企業であれ、SAP環境を所有し運用することがかなりの出費になることは間違いありません。しかし、その環境を安定させ、パフォーマンスを維持し、SAP環境で起こっている他のことにも適応できるようにする必要があります。」
[i] Gartner – Quick Answer: What Is the Level of Adoption of SAP S/4HANA in 4Q22?, 23 March 2023