リミニストリートセッションレポート@Gartner IT Symposium/Xpo 2019

リミニストリートセッションレポート@Gartner IT Symposium/Xpo 2019

2019年11月12日から14日、Gartner IT Symposium/Xpoに日本リミニストリートは協賛し、初日にセッション「成長に現状維持はない: 変革により、技術的な負債を清算し競争時代を生き残る」と題して講演をしました。そのテーマは「ITの重要な意思決定はだれが行うか」で、リミニストリートからは本社Global Vice President, Global Product Marketing ハリー・キャンダダイがプレゼンテーションを行い、ゲストスピーカーとして日東電工株式会社IT統括部長 家倉 健吉様にテーマに対する取り組みを紹介いただきました。

まずは、キャンダダイから、技術的な負債についての課題と、その克服方法について説明しました。Status Quo(現状維持)は、オプションではない。すなわち成長に現状維持はない、というインパクトのあるスライドがからスタートしました。この不確実な時代では、企業は成長するか、競争に負けるか、2つに1つという厳しい現実があります。そのためには、技術的な負債、ファイナンス的な負債を管理することが一層大事になります。
キャンダダイは、経済産業省のDXレポート作成の一人である名古屋大学大学院 情報学研究科 教授 山本修一郎氏の言葉を引用し、日本の現状を共有しました。山本教授曰く「日本企業の約8割に老朽システムが残っており、約7割の企業はその老朽システムがDXの足かせになっていると感じています」とのことです。そして、全世界の400以上のCIOの調査結果を紹介し、イノベーションがトッププライオリティであり、どのように必然のイノベーションを起こするか重要なテーマになることを説明。しかし、現実は、90%の既存システムのメンテナンスを含むIT予算はビジネスを遂行するために使われているだけで、たった10%がビジネスを差別化して、イノベーションを起こすために使われている現状に懸念を表しました。

ここで、セッションのタイトルで使われている「技術的な負債」の定義を解説しました。「技術的な負債」のコンセプト自体は、1992年ウォード・カニンガムが、技術的な複雑さと債務の比較を経験報告で初めて行ったことから来ており、昔は単に悪いコードという意味で使われてようです。近年では、より大きなコンセプトとなっており、技術的な負債は、オペレーションのコスト、拡張性などに悪い影響を与えているとのこと。

ここでERPの世界の状況を説明し、以下について言及しました。Oracle、SAPなどのERPはすでに30年、40年と成熟されたソフトウェアで、そこに新しいリリースでのイノベーションがほとんどない現実。そのような状況にかかわらず保守サービスに年間多くの費用が支払われており、また、アップグレードでのROIは期待できないとのこと。そして、どれくらいコストのインパクトがあるかの具体的な例を紹介しました。70社の企業からの調査の結果、仮に年間2億円の保守サービス費用をベンダーに支払っていると、実際にはそこには隠れたコストがあり、強制的なアップグレード、カスタマイズ サポート、保守要員などでさらに2億円、合計4億円の費用を負担していることが分かっています。この費用を削減することで、イノベーションに投資可能になると強調しました。

そして、キャンダダイは、技術的な負債をどう克服するかを、以下のとおり説明しました。Gartner社も同じようなモデルがあるが、これはリミニストリートのモデル。3つのステップがあり、まずは、バンドルされたベスト・オブ・ブリードのアプリケーションの継続的な運用とサポートを最適化、次に、統合サービスモデルでERPアプリケーション管理の成果を改善、そして、モダナイズとして、パブリッククラウドとSystems of Engagementを通じて、エンタープライズソフトウェアの寿命と価値を拡大。モダナイズする2つの方法あり、クラウドにリフト&シフトする方法と、既存のERPをコアに新しい技術をその周りに統合する方法が存在する。

ここで、日東電工株式会社IT統括部長 家倉 健吉様がご登壇され、日東電工様の会社紹介をされ、ITの中期計画、製造業が考えるDX、そして、ITが抱える課題を共有いただきました。日東電工様では、すべてのITプラットフォームをグローバルITプラットフォームの構築・移行され、クラウド経験値の蓄積されている段階です。2020年からの次のステップでは、クラウドでスピードを上げ、事業に貢献することに主眼を置かれています。デジタルテクノロジーも積極的に取り入れられ、製造業として、事前に危険を予測して事故を防止する、データをもちいて品質、歩留まりの向上することを狙われています。

家倉様が2年半の間ITを担当してもたれたITへのコスト構造への違和感についても共有いただきました。それは、まずベンダーに年間ソフトウェア価格の20%の保守費用を当たり前に支払い、IT部門がそれに対して疑問をもたないこと。また、人月ベースのコスト、ROIの話がでてこないことも。ここを変えないと事業に貢献できない判断されています。日東電工様では、レガシーのシステムにかかっている保守費用については弊社サービスを使って、コスト削減して、新しい取り組みに投資されていることをご紹介いただきました。

家倉様はまだコスト構造に納得されてないため、この構造を壊すきっかけとして、クラウドを選択されているとのこと、使いたいだけを使い、その分を支払う、色々選択して、だめだったら捨てるとのような期待をクラウドにお持ちで、ベンダー依存ではなく、自社のことは自社で決定するビジネスロードマップをさらに推進されていくと、講演いただきました。