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「ポストモダンERP」と「小さなERP」

脇阪順雄
< 1 分(想定読了時間)

私は、1988年からIT業界で働いています。
最初は、ホストコンピューターのSEをしていたのですが、幸いなことに、数多くのお客様のシステムに携わることができました。ホストコンピューター時代のシステムは、大きなホストが企業の基幹業務をほぼ網羅することにより実現されていました。当時を考えますと、各ホストコンピューターメーカーが「パッケージソフトウェア」と銘打ったソフトウェアを持っていましたが、ほとんどの場合は、スクラッチ(一から作る)やカスタマイズ(ERPの世界ではソースコードを修正するモディフィケーション)が前提でした。出来上がったシステムは、その企業独自のものになるのが普通でした。つまり、当時はパッケージソフトウェアを、標準のまま使うといった発想そのものがなかったのだと思います。

90年代後半になり、欧米のERPと呼ばれるパッケージソフトウェアが日本に参入してきました。当時流行った言葉に「BPR(Business Process Reengineering」があります。「BPRを行って、パッケージに業務を合わせていきましょう」という導入が流行りました。しかしここでも、実際は、多くの企業でさまざまな「アドオン」を作ることによる導入が進められました。
ERPの業界ではBest Practiceという言葉がよくつかわれましたが、ここに大きな勘違いが発生したのだと思います。Best Practiceという言葉から、「グローバルで最高のプロセスを導入すればグローバル化を達成できる」と信じて導入したのですが、結局その会社のプロセスに合わない部分が発生し、うまく合わせるための拡張開発を余儀なくされていました。 これは、「Practice」という単語の誤解から来ているのではないでしょうか? Practiceとは「慣行」のことなのに、各社独自の強みがあるプロセスまで標準=慣行に合わせることで、無理が生じたのだと思います。

2005年くらいになりますと、各ERPベンダーはSOA(System Oriented Architecture)という言葉を使い出します。これは、非競争領域はERPの持つベストプラクティスに合わせこみ、競争領域は別途開発をしてオブジェクト技術を利用し、結合していこうといった考え方の表れだと思います。多くのERP製品は、このSOAの定義する標準インターフェースに準拠することとなり、ERPとしての「ある意味での完成系」が出来上がったのもこの時期だと思います。

その後のERP各社の動きを見てみると、新しい拡張機能はERPの外側で開発されていきます。その流れの中で、「Cloud」の優位性をもっと活用する流れとなります。本当の非競争領域は、SaaSによってアプリケーションレベルで提供され、拡張開発には、PaaS/IaaSベンダーがプラットフォームを提供する世の中となってきました。この中で、じゃあERPはどうなっていくのかを考えてみたいと思います。

ガートナー社は、「ポストモダンERP」※といった名前で新しいアーキテクチャーを提唱しています。ホストコンピューターの時代から続いてきた、基幹システムを、単一のシステムで実現するのではなく、複数のシステムを疎結合することにより、全体としてのERPを構築しようといった考え方です。その中では、企業がビジネスを行った結果のトランザクションを保持、分析するためのSOR(System of Record)と呼ばれる部分と、実際にビジネスを推進する、SOE(System of Engagement)に分けてアーキテクチャーを構成するといった考え方です。これには、いくつかのメリットが考えられます。

SORの領域は、狭義でのERPとなるかと思います。日々のトランザクションを正確に処理して、その発生するデータ保管し、高速度での分析に対応をしていくことが目的となります。この領域は成熟しており、その変化のスピードは非常に遅いのではないかと思っています。物品を販売している企業であれば、Order to Cashと言われる部分のトランザクションは、昔から大きく変化していません。受注をし、出荷指示をし、ピッキング/パッキングし出荷する。出荷が終われば請求し、入金を行う。「いや、うちの会社のプロセスはそうじゃないですよ」という方はほとんどいらっしゃらないかと思います。この部分はパッケージソフトウェアとしてのERPが得意な領域です。

では、なにが企業各社の競争優位をもつ分野となっているのでしょうか? 私は、SOEだと思います。今まで対面、電話、ファックスで行っていた受注を、Web技術を使った受注方式に変更していくというのは、かなり昔の話になりつつあります。その中で在庫を引き当てるためにAI技術を活用していくことが、ある企業にとっては強みになるかもしれません。もしかしたら、AIとロボット技術を利用して無人のピッキング、パッキングが強みとなる企業があるかもしれません。このような企業の強みになるSOEの部分が、パッケージアプリケーションとして用意されているとは考えにくく、AIを提供するためのプラットフォーム、物流ロボットをコントロールするためのIoTプラットフォーム、それらを実装するためのクラウドプラットフォーム等を活用して、各社の強みをデジタル技術によって実現していくことになります。また、このSOEの分野は変化の速度が激しく、SORのシステムとは決して密結合せずに、疎結合をすることにより、SOE側が変化してもSOR側への変化を最小限にとどめることが、変化の速度が速いDXの世界についていくことができるアーキテクチャーになるかと思います。

このようなポストモダンERP型のアーキテクチャーを取ることにより、SORを担うERPはどんどん小さくなり、多くのプロセスはSOE側に出されていくことになります。各社の強み、つまり、競争領域では、その会社に最も適したプラットフォームを選定し、その上で開発をしていき、また、非競争領域においては、パラメータレベルでのカスタマイズが可能なSaaS型アプリケーションを活用していきます。

このようなアーキテクチャーを取ることにより、それぞれの開発プロジェクトを小さくすることができ、アジャイル型の開発を加速できるようになります。品質にも貢献すると思います。

そこで、みなさん今一度よく考えてみてください。この話の中のどの分野に投資をしたいと思いますか?

今、皆さんがやらなくてはいけないのは、「ビジネスに直接貢献する」システムの開発だと考えます。もちろん、企業によっては、SORを担うシステムがいまだにメインフレームコンピューターで動いており、これがビジネスの成長性や柔軟性を阻害しているところもあるでしょう。経産省の「2025年の崖」で問題視されているシステムです。

もしも、「ビジネスに直接貢献する」に投資したいのであれば、リミニストリートは皆様のERPが将来ビジネスの成長の障害となり、大がかりな変更を余儀なくされるまで、コストを抑えてお預かりいたします。ERPおよびERPまわりのソフトウェアのROIを向上することもできます。そして、その削減できた予算を、「ビジネスに直接貢献する」に投資することができます。

Rimini Streetのサポートは、ご契約いただいてから最低15年間は、お客様側のビジネス上の理由なしでのバージョンアップを行うことなく、システムをお預かりさせていただきます。この実現にあたりましては、弊社アメリカの研究センターにおきまして、互換性技術の研究を常に行っており、ベンダーのサポートが終了している、または、ベンダーがサポートしないOS、DBの組み合わせであったとしても、相互運用性を維持してサポートを継続させていただく技術を確立しております。これにより、お客様はビジネス上、ERPシステムの更新がビジネスでの第一プライオリティになるタイミングまで、安心してシステムをご活用いただくことが可能となるのです。

まさに今、皆さんの決断の時だと思います。ベンダー主導のロードマップに乗りますか? それとも、御社ビジネス主導型のロードマップを書きますか?

※1プレスリリース:ガートナー、「日本におけるポストモダンERPのハイプ・サイクル」を発表 (2019年12月18日)

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