アジャイルERPの可能性:どのように迅速な価値実現が、どのように理論的ではなく実質的な成果をもたらすのか

Andrew Harsch
Product Marketing Director, Managed Services and SAAS
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エンタープライズリソースプランニング(ERP)システムは、組織の基盤であり、ITや財務部門のリーダーが中核となる業務を統合・管理することを可能にします。しかし、イノベーションの加速と、将来ではなく今求められる最新機能や成果へのニーズの高まりにより、ERPの変革プロジェクトは何年もかかり、数十億ドルもの莫大な費用が必要という、これまでの常識が揺らぎ始めています。 

最近の発表の中には、ある食品メーカーが5年間1億2000万ドルを5年間で投じてテクノロジースタックを刷新するという驚くべきコミットメントを、18か月にわたる計画の上にさらに重ねた例もあり、このようなビッグバン型アプローチの決断が、組織だけでなくキャリアにも影響を及ぼす可能性があることを浮き彫りにしています。特定の地域において、個別のモジュールに焦点を当てることで混乱を最小限に抑えられるという考え方は、一見すると賢明に思えるかもしれません。しかし、それは次のような重要な問いを投げかけます。『市場がアジリティと即時の成果を求めている中で、企業はこのような長期的なスケジュールや多額の投資に耐えられるのでしょうか? そして、こうしたアプローチは、製品へのベンダーロックインや、クラウドコストの増幅といった予期せぬ結果を生み出すのではないでしょうか? 

最近では、こうした種類のプロジェクトが予定を超過し、予算を上回り、組織に重大な影響を与えた例があまりにも多く見られます。中には、導入の失敗によって2億1650万ポンドの損失を出し、ヨーロッパ最大の地方自治体を破綻に追い込む要因となったケースさえあります。 

リーダーは、製品に縛られないロードマップを時間をかけて評価し、ビジネスに即したスピードとコストで、ポジティブな成果をもたらすことに注力すべきです。 

AI新時代におけるIT変革の再構想

想像してみてください、数十億円規模の「ビッグバン型」プロジェクトと同等の成果を、ほんの数か月、しかも12億ドルではなく120万ドルで達成できるとしたら、どうでしょうか?モダナイゼーションが求められる主要機能領域を管理可能な単位に分割し、機能強化を段階的に展開していくことで実現可能です。 

数年かけて計画し、導入前に時代遅れとなるリスクを負う代わりに、アジャイルERPのアプローチは、迅速な価値実現と反復的イノベーションに重点を置くことで、魅力的な代替策を提供します。 

ソフトウェア開発の視点と迅速なイノベーションの要素をより強く取り入れることで、アジャイルERPは、最小限の実用プロトタイプMVPの提示から、完全な機能変革へとつながる一連の段階的プロジェクトを通じて、具体的な成果を提供することに重点を置いています。   

たとえば、ServiceNow® AI Platform for Businessのようなモダンプラットフォームや、Accounts Payableなどの業務領域向けにパッケージ化されたインテリジェントなエクスペリエンスとワークフローを活用することで、従業員、取引先、顧客それぞれにとって新しい体験を迅速に導入できます。これにより、チームメンバーやサプライヤー、クライアントがフィードバックを提供しつつ、追加機能や新たなユースケースの導入を進めることが可能になります。 

ビッグバン方式の分解:従来モデルからの教訓

この上記の5年間のプロジェクトの例は、単一のテクノロジーベンダーのロードマップへの「全面的な移行」を反映しており、このアプローチはいくつかの重大な潜在的欠点が浮き彫りになっています。 

  • 価値実現までの時間が長い:今日のテクノロジー環境において5年という期間は非常に長く、新たな技術や機能は次々と登場し、顧客が求めるものも常に変化しています。こうした変革が完了するころには、当初想定していた成果が、もはやステークホルダーのニーズと一致しなくなっている可能性があります。 
  • 混乱リスク:段階的な導入であっても、モジュール間の依存関係を過小評価すると、業務に支障が生じる可能性があります。こうした混乱によるコストの累積は、投資対効果(ROI)を蝕む結果となるでしょう。また、この種のプロジェクトは静的なものではなく、多くの機能領域が他のシステムに依存しており、それらも同様にクラウドやSaaSへの移行の対象となっている場合があります。統合、アクセス権限、セキュリティに関する新たな課題も発生しうるのです。 
  • イノベーションから締め出されるリスク:製品の細則に記載されていない制約として、互換性の複雑さやシステムの柔軟性不足により、最新テクノロジーを導入できないケースがあります。つまり、新たなイノベーションが市場に登場しても、必要とする機能を活用できないという状況に陥る可能性があるのです。 

アジャイルERP:新たな進路

アジャイルERPアプローチは、従来のモデルを覆し、迅速で反復的な開発を優先することで、短期間での成果(クイックウィン)を実現します。小規模かつインパクトの大きいプロジェクトに注力することで、企業は数年ではなく、数か月で有意義な結果を出すことが可能になります。 

モダナイゼーションが求められる主要な機能領域を、管理可能な単位に分解し、機能強化を段階的に展開することで、次のような効果が生まれます: 

  • ユーザー体験の再構想:アジャイルERPプロジェクトは、ユーザーサービスのカタログや調達分析、サプライヤーとのやり取り、クライアントのバリューチェーンに至るまで、ユーザーのワークフローに変革をもたらします。ServiceNow, Inc.の「Source to Pay Operations」により、これらのプロセス全体でシームレスな自動化・統合・リアルタイムの可視化が可能になります。 
  • 専門知識の活用:Rimini StreetのプロフェッショナルサービスであるRimini Consult™は、深い業界知識を提供し、現状の分析、最適化されたバリューストリームの構想、スケーラブルなソリューションの導入を支援します。これにより、変革が単なる戦略で終わらず、実行可能かつ高い効果を伴うものとなります。 
  • 導入の加速:18か月以上を計画に費やすような長期プロジェクトとは異なり、アジャイルERPチームは導入と改善を同時進行で進めていきます。従来型の計画がようやく整う頃には、アジャイルERPユーザーはすでに成果を享受し、フィードバックを収集し、ワークフローの最適化に取り組めるようになっています。 

コストをバリューストリームへと変換する

アジャイルERPアプローチは、単にコストを削減するだけではなく、それを成長の機会へと転換します。その具体的な方法は以下の通りです: 

小規模で自立したプロジェクト:アジャイルERPプロジェクトは、短期間で成果を出すことでコスト削減したり新たな収益源を生み出したりすることでの創出につながりしばしば多くの場合、自己資金でまかなえる形になります。たとえば、調達プロセスを自動化することで、発注書の処理時間とコストを大幅に削減できます。 

リアルタイムの可視化:ServiceNowのようなプラットフォームを活用することで、組織は業務の状況を即座に把握できます。この可視性により、リーダーはボトルネックの特定、KPIの追跡、データに基づく意思決定が可能になります。 

スケーラブルな変革:1つの部門やプロセスから始めることで、他の領域へ展開する前にアプローチを洗練させることができます。これにより、導入がスムーズに進み、より高いROIを実現することができます。 

行動を起こしましょう、今こそ考えましょう

どこから始めればよいか迷っているなら、まず次の問いを自分自身に投げかけてみてください: 

  • 1件の発注書(PO)を処理したり、1件のトラブルを解決するのに、実際いくらかかっているかかかる費用を把握していますか?   
  • 業務フローにはのうちどれほどのどの程度を手作業や共有メールボックスが占めていますか? 
  • 重要な業務プロセスのサイクルタイムはどれくらいで、それが日々の業務にどう影響していますか?   
  • 改善すべき領域を特定し、優先順位をつけるための可視化をできていますか? 

もしその答えの中に「わからない」や「できたらいいのに」が含まれているなら、今こそ話し合うべき時です。 

Rimini Consultの専門家が、現在のテクノロジー環境を評価し、改善の機会を見極め、アジリティとイノベーションが成功を牽引する未来の姿を共に描くお手伝いをします。 

まずはご相談ください。従来型の計画フェーズが終わる前に、貴社の変革を構想し、開発し、展開していきましょう。 

私たちがその未来へ、あなたを導きます。 

Rimini Consultと共に、アジャイルERPの旅を始めましょう

Rimini Consultの専門家が、現在のテクノロジー環境を評価し、改善の機会を見つけ出し、アジリティとイノベーションが成功を牽引する未来の姿を共に描くお手伝いをします。 

Andrew Harsch

Product Marketing Director, Managed Services and SAAS