昨年の年末商戦に、小売業者は予想外のギフトを手にしました。11月1日から12月24日までの売上は前年比5.1%上昇し、6年ぶりの高水準を記録したのです1。全米小売業協会(NRF)によると、より大局的に見て年間売上は過去5年間に比べて平均約3.9%増となりました。
小売が売上を伸ばす中、Mastercardの分析部門であるSpendingPulseの小売報告書によると、オンライン販売は19.1%増とさらに急速な伸びを示しています2。
小売業者のIT戦略に関するガートナーの調査によると、「デジタル化が、収益成長以上に、小売業者にとっての新たな最優先事項となっています」3。
全米小売業協会の次回総会では、今シーズンの勝者を決める上でデジタルトランスフォーメーションが果たした役割についてさかんに議論されることになるでしょう。Kohl’s、Macy’s、Nordstrom等の企業とAmazon やTARGETの違いはどこにあるのでしょうか?モバイル コマースやポイントサービスを最も有効に活用しているのはどの企業でしょうか?実店舗での体験を強化する拡張現実(AR)等のテクノロジーは、最先端テクノロジーから本流へと移行するのでしょうか?小売業者は、正しいデジタル戦略を選択できるかどうかが自社の未来を左右しかねないということを認識しています。
それでも、大半の小売業者は薄利での販売で運営されているため、デジタルビジネスへの投資資金を確保するのは至難の業と思われます。
まずここで言っておきたいのは、私は、小売業者の望みやニーズについて十把一絡げに総括するつもりはありません。宝飾のチェーン店の需要は、有名デザイナーの名前を掲げるファッション小売店や大型小売店の需要とは大いに異なりますし、レストラン業界では、高級店とファミリーレストランは違いますし、さらにそれらはコーヒーショップやファストフードの経営とは異なります。
小売業に関する私の知識の大半は、ネットワークやマネージドサービスのマーケティングと販売を担当した前職から得たものです。これらのサービスは、多くの拠点を抱え、各拠点の現場のテクニカルリソースはたとえあったとしてもごく少ないといった企業にとって特に役立つものでした。多くの店舗やレストランの周辺ビジネスとして数多くの企業が生まれ、私たちは小売業界に迷い込んだようになっていました。営業チームは製品とサービスをスピード感をもって提供することを重視していたため、すべての小売業者を一様に取り上げがちでした。商談中のお客様から、そうではないとはっきり釘を差されたこともあります。そうやって私たち営業担当者は徐々に賢くなります。少なくとも、商談中の小売業者のニーズに関する思い込みをやめ、もっと質問をし、理解していくようになりました。
自分のことを小売業界のプロだとは思っていません。だからこそ、NRF2019(全米小売業協会の年次総会)では参加者の方々にたくさん質問するつもりです。どのような答えが返ってくるかはわかりませんが、「業務の継続」のために費やされているIT経費がイノベーションの足かせとなっているというリミニストリートのメッセージに耳を傾けてくださる方がいると確信しています。特には、ベンダーに影響されず、自らの技術ロードマップを主動する手段として、ERPシステムの保守契約に関してベンダーに過剰な支払いを行うのではなく、リミニストリートにサポートを移行されることをお勧めします。
NRF総会の参加者に、以下のような質問を投げかけるつもりです。
- 最後にERP ソフトウェアのアップデートによってビジネスに本当の意味で実質的な変化が生じたのはいつでしたか?売上は増加しましたか?物流は合理化されましたか?新市場への参入や新たなバイヤーが確保できましたか?
- テストや検証の必要がある、または有意義な新機能がないという理由で、提供された更新プログラムの実装を延期したことはどれぐらいありますか
- 優先順位が高い問題についてサポートを必要とした時、ERPベンダーのサポート部門の反応スピードはどうでしたか?
- 報告した問題が、カスタマイズした部分や、基本製品の不足部分を埋めるために行った統合に関係するものだという理由でサポートを断られた経験はどれぐらいありますか?
当然ながら、最新リリースはどれもデジタルで優位に立つために欠かせないと、ERPベンダーはしきりに宣伝します。私としては、メリットはごくわずかである、または最優先事項には関係ないといった声が多くのNRFの参加者から聞かれるのではないかと予測しています。だからこそ、最初からベンダーのテクノロジーロードマップをただそのまま受け入れるのではなく、独自のビジネス主導型ITロードマップを定義することが非常に重要なのです。
その理由はさまざまですが、小売業者は、デジタルイノベーションが収益成長と同等かそれ以上に重要な優先事項であると認識しはじめています。ガートナーが指摘する通り、「収益成長は依然として優先順位の上位にあるが、[当社の調査によると]最優先事項としている小売業者の数は2018年の調査(44%)から大幅に減少しています(22%)」。
結局、小売業者はテクノロジーが好きで関心を持っているわけではないということが当社調査で明らかになっています。小売業者は、成長と収益性を実現し、厳しい競争を勝ち抜く力となるデジタルイノベーションというものに投資したいと考えているのです。
ERPやエンタープライズ アプリケーションの運用コスト削減という面で、リミニストリートは違いを生み出すことができます。これにより小売業者は、最優先事項への予算配分を増やすことができます。
本稿は、LinkedInに投稿された記事を再掲したものです。
1https://cbs4indy.com/2018/12/27/holiday-retail-sales-surge-thanks-to-strong-economy-online-purchases/
1https://cbs4indy.com/2018/12/27/holiday-retail-sales-surge-thanks-to-strong-economy-online-purchases/
2https://nypost.com/2018/12/26/holiday-shopping-season-sales-the-highest-in-six-years-report/
2https://nypost.com/2018/12/26/holiday-shopping-season-sales-the-highest-in-six-years-report/
3Gartner, 2019 CIO Agenda: Retail Industry Insights, Robert Hetu, 15 October 2018.
3Gartner, 2019 CIO Agenda:Retail Industry Insights(CIOアジェンダ:小売業界のインサイト)、 Robert Hetu、2018年10月15日
※当記事は、2019年1月7日に公開された弊社英語版ブログWhat Retailers Have In Common on IT Spending and Digital Innovation の日本語訳版です。