SAP ERPのデータを活用してDXを推進
2020年5月28日、エンタープライズソフトウェア製品を対象としたサポートサービスの世界的プロバイダーでSalesforceのパートナーであり、OracleおよびSAPソフトウェアの第三者保守サポートにおいて業界をリードするリミニストリート(Nasdaq: RMNI)は、京都市に本社を置き、界面活性剤を始めとする各種工業用薬剤を製造・販売する化学品メーカーである第一工業製薬株式会社(以下、第一工業製薬)が、SAPの保守サポートをリミニストリートに切り替えたことを発表しました。
第一工業製薬は、リミニストリートへの切り替えにより、SAP ECC 6.0のアップグレード問題を早期に解決し、従来の50%の年間サポート料で保守サービスを受けられることに加え、システムインテグレータの運用リソースも削減して、システムインテグレータが機能の改善により注力できることを狙っています。この削減コストで、SAP ERPに蓄積されたデータを活用した収益拡大の仕組みの構築および業務改革を進める計画です。さらに将来は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)による事業創出まで視野に入れています。
同社が求めていたのは、保守サポートの向上とコスト削減に加え、自社システムの運用と管理のコントロールを取り戻し、さらに将来を見据えたビジネス主導のITロードマップを策定、推進することでした。第一工業製薬では、スペイン語で幸福の意味を持つ新中期計画「FELIZ 115」が2020年4月からスタートし、「未来」・「環境」・「生命」・「革新」・「挑戦」の5つのテーマを掲げ、全てのステークホルダーに幸福を与える企業を目指しています。
ERP運用コストを見直し、業務改革を推進
第一工業製薬では、2012年よりSAPのライセンスを段階的に導入し、2015年から受注から購買、製造、出荷、販売までの一貫したロジスティクス業務と、予算編成から決算業務までの管理・財務会計などの業務を中心にERPを導入しました。当初の目的は、これまでグループ会社や各工場がバラバラに運用をしていた業務の、業務プロセスを見直しつつSAPに統合することで、グループ全体の統合化・効率化・標準化・可視化が実現できるシステムを構築する事でした。SAP ECC 6.0の保守切れ問題への対応の決断が迫るなか、一昨年コミュニケーション活性化のためにグループウェアの刷新も行ったことで、社内の保守コストにかかる高額な費用が優先的な検討事項として浮上しました。そこで保守コスト削減に向けた検討をする過程で、SAPソフトウェアの第三者保守サービスが選択肢に上がり、実際のクライアントを訪問し、サービスレベルと顧客満足度を確認した上で、保守業者として最終的にリミニストリートを採用することにしました。これにより、S/4HANAの保守切れ問題も、早々に解決することができました。
第一工業製薬株式会社で当時、財務本部 情報システム部長としてIT環境整備を率いた中村 勝氏(現社長室長)は次のように述べています。「弊社は2015年にこれまで利用してきた汎用機からSAP ERPへの再構築を行いました。その際、単なる再構築ではなく、業務プロセスを見直し、グループ全体の最適化を図れる基盤を確立する事が目的でした。本番稼働当初は様々な不具合・問題点が出てきましたが、ようやく安定稼働に至っています。その結果、SAPや周辺システムからさまざまなデータが取得できるようになり、これらをいかに提供、活用し業績に寄与していくかが急務となりました。併せて今後はRPAやAI等を活用したDX改革にも取り組んでいくため、システム部員のリソースや時間が不足する事が懸念としてありました。そのような状況下の中、ようやく安定稼働したばかりのSAP ERPを、S/4HANAへすぐにアップグレードするという選択肢はどうしても取れませんでした。」
専任サポートエンジニアによる高品質なサービス
第一工業製薬は、リミニストリートとの契約後、迅速かつ質の高いサポートを受けつつ、使い慣れて安定したSAPシステムを少なくとも15年間にわたり運用し続けることができます。同社をサポートするのは、高度な専門知識を持ち、チーム全体で平均15年間の経験を備えた、シニアレベルの専任サポートエンジニア:プライマリーサポートエンジニア(PSE)です。また、365日、24時間体制で、優先度1のお問い合わせケースには15分以内のエンジニアチームによる応答を保証するサービスレベル契約(SLA)を結んでいます。
「今回の切り替えによって、コスト削減ではなく、弊社のシステムインテグレータの運用負荷を軽減して、システムインテグレータ内のリソースを機能改善により多く使うことが可能になります。SAPのECC 6.0のメインストリームが延長されましたが、今当時と同じ状況でも、リミニストリートへの切り替えの判断をしたと考えています」と、中村氏は続けました。
日本リミニストリート株式会社 日本支社長の脇阪順雄は次のように述べています。「第一工業製薬様は、SAP ECC6.0で社内プロセスを革新し、ビジネスの可視化に成功されています。リミニストリートに切り替えることで、さらにDXを推進して迅速な変革ができるようになり、変化する化学品市場の中でIT部門の効率化とビジネスの成長を進められています。ライフサイエンスの強化、素材の創出、海外展開などを進められている第一工業製薬様の新しい取り組みに寄与できることを楽しみにしております。」