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Oracle Support Rewards Programの長所と短所- 「オンプレミス」から「クラウド」へ:Oracle ERP移行時の考慮点

Isao Nozaki
< 1 分(想定読了時間)

今日は、数多くのERPシステムの将来ロードマップに関してご相談を頂いた経験から、Oracle社が最近注力している、EBS/PropleSoft/JDEなどERP顧客向け、およびDatabaseなどミドルウェアの顧客向けのOracle社クラウドサービスへの移行政策と販売キャンペーンプログラムがユーザー企業にとってどのように役立つのか、どのように考えればよいのかについてお話ししたいと思います。

Oracle Support Rewards Programは、2021年6月に発表された、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)への移行を促進するためのキャンペーンプログラムです。OCI上のサービスを購入すると、報奨金としてSupport Rewardsというポイントが獲得でき、既存のOracle ERP製品/DB/ミドルウェア製品サポート契約への支払いを減額できるというものです。この興味深いプログラムを詳細に見ていきましょう。

このSupport Rewardsポイントの獲得方法は、「Oracleユニバーサル・クレジット」を購入することです。これは以下のクラウドサービスへの支払いに使用できます。

  • OCI上のERPなどSaaSクラウドサービス
  • DatabaseなどのPaaSクラウドサービス
  • 仮想マシン(VM)の時間貸しであるIaaSクラウドサービス

ではSupport Rewardsによる減額対象の費用は何なのでしょうか?それは以下の通りです。

  • ERP, ミドルウェア, DBなどOracle社ソフトウェア全製品のサポート契約の請求
  • Oracle社[email protected]契約を締結している場合はその請求

減額される幅は、前述のユニバーサル・クレジット購入額の1/4、もし減額対象がULA契約に付随するサポート費用であれば1/3です。例えば自社が利用するOCI Oracle Fusion Cloud ERPへの支払い用に3000万円分のユニバーサル・クレジットを購入する場合、既存のOracle Databaseソフトウェアのサポート費用が年額1200万円と仮定すると、次回の支払いを3000万円の1/4の750万円減額して450万円にすることができます。その1200万円がULA契約に対するサポート契約であれば3000万円の1/3の1000万円減額して支払いを200万円に減額できます。

上記から理解できますように、これはOracleソフトウェアのユーザーに、Oracle社の長期的な戦略の一部であるOCIへの移行を促すためのインセンティブモデルです。ULA契約を結んでいるとよりお得になるように見えますが、実際においてはULAは金額的に大きな契約となる傾向があり、また、顧客が権利内の製品を十分に利用しきれていないことが多く、契約対象が20の製品のところ10しか使っていない状況においてもサポート料は20製品分を支払っているのです。

Support Rewards Programは、上記によりユーザー企業をOracle Cloudに移行させることを目的の一つと見受けられます。Oracle社はサポート事業で190億ドルの売上があり利益率は95%である一方、クラウド事業の収益率はまだそれほどではないと思われます。このプログラムのポイントはサポートコストを削減するものではなく、クレジットを提供するのみですので、OCIの消費を止めた際には、直ちにサポート費用は元の金額に戻ってしまう点に注意が必要です。

またこのプログラムはOarcleソフトウェアサポートを長年契約しているユーザーに利益還元を行うクーポンではないことは特筆されるべき点となります。もしそのような意図があれば、ソフトウェアサポート契約高に応じてユニバーサルクレジットを付与するプログラムにする方が理にかなっていますが、現実はそうなっておらず、むしろOracle社はよりOCIの消費にフォーカスする必要性を認識していることになります。なぜなら、ユーザーは既存サポート契約に応じて1年分のクラウド用ユニバーサルクレジットを獲得しても、OCIを1年使った後に使用をやめてしまうからです。Oracle Support Rewardsプログラムでは逆で、ソフトウェアサポート契約の減額を受け続けたければユニバーサルクレジットを繰り返し購入する必要があります。

これは、あくまで「プログラム」ですので、Oracle社はいつでも終了できます。Oracle社はユーザーのサポート費用を削減することが目的ではなく、Oracle Cloud Infrastructureに移行させることが目的ですから、目的を達成したら終了すると推測されます。

さて、Support Rewardsの内容を見てきましたが、ここで全体を俯瞰して、Oracle社のクラウド戦略を振り返ってみましょう。Oracle社は2017年にクラウド・アプリケーションとサービスの製品ラインを市場に投入しました。これはOracles社のサポート収益 190億ドルの多くをクラウド戦略に投入していることを示しており、ERP製品群にも影響を与える可能性があります。Oracle ERPアプリケーション製品の長期的な存続を心配しているお客様は、その必要はないと思われます。その理由として挙げられるのはOracle社は、自社のお客様がクラウドへの大規模な移行に対応できていないことを認めているからあり、ラリー・エリソン氏は、オンプレミス・アプリケーションとオラクル・クラウドとの共存期間は、永遠ではないにしても10年はかかると公言しています。

図1※1

OCIはSaaSとしてだけでなく、Oracle Databaseを始めとするミドルウェアを1時間いくらで使えるPaaSや、コンピューターの箱貸しに相当する仮想マシンを1時間いくらで提供するIaaSでもあります。OCIがERP向けのSaaS主体のクラウドだとしても、企業の基幹系システムとして位置するERPは周辺システムとの連係・接続なしに存在できません。データをERP投入前に整理するデータベースや、ERPから取り出した業務データを分析するアプリケーションなど様々なアプリケーションをERPと一緒に運用する使いやすさを考えると、IaaSやPaaSとしての機能も重要です。ではOCIのPaaSやIaaSとしての評価はどうなのでしょうか。ガートナー社は2021年のPaaS/IaaSクラウド機能を評価するMagic Quadrantレポート※2の中で、OCIがOracle ERP Cloudのインフラとして年々機能を拡大していることを述べている一方、機能の多くが未熟であり、PaaSやIaaSとしての機能が広く活用される可能性は低いこと、およびソフトウェア開発者や独立系ソフトウェアベンダー(ISV)がOracle社に対しネガティブな感情を持っており、AWS, Azure, GCPなど他の成功しているプロバイダーと同レベルの支持を集める障害になっていると指摘している点についても注意が必要と思われます。

では、OCI以外の既存のERPシステムの将来のロードマップをどう考えればよいのでしょうか。一つには、既存ERPシステムをSaaSではなくOCI以外のパブリッククラウドのIaaS・PaaSも含めて移行先として考えることです。ここでは、ERPをSaaSクラウドサービスに移行する場合と、パブリッククラウドのIaaSに移行する場合の相違点をまとめてみました。そして、IaaSに移行する利点はもうひとつあります。IaaSであれば、既存のOracleの永久使用ライセンスを活用しつつ、Oracle社の高い保守契約を見直すことも選択肢に入ってくることです。

図2※3

Oracle社サポート契約とそれに伴う強制アップグレード、アップデート、カスタマイズ保守、セルフサポートにかかる費用がグラフの青い部分です。OCI SaaSに移行すると、Oracle社が責任を持つ部分が増えますので、黒い部分の費用が掛かるようになります。それに対して、強制アップグレードがなく、カスタマイズ部分の保守およびセルフサポートも肩代わりしてくれる第三者保守に移行する場合が黄色い部分です。

皆様には、ぜひクラウドを上手に活用して既存システムに最適なロードマップを策定頂きたいと思います。リミニストリートにお手伝いできることがありましたら、ぜひお声がけください。

Oracleのライセンスに関するオンデマンドオンラインセミナーをご覧いただけます。>>視聴はこちらから

【無料オンラインセミナー】 Oracle Support Rewards Programの長所と短所-「オンプレミス」から「クラウド」へ:Oracle ERP移行時の考慮点

※1Magic Quadrant for Cloud Infrastructure and Platform Services https://www.gartner.com/doc/reprints?id=1-271OE4VR&ct=210802&st=sb
※2
1 https://b2bsalescafe.files.wordpress.com/2019/09/gartner-magic-quadrant-for-cloud-infrastructure-as-a-service-worldwide-july-2019.pdf
2 https://www.techrepublic.com/article/gartner-reveals-one-big-reason-oracles-cloud-hasnt-caught-on/
3 https://earlyadopter.com/2019/10/17/why-oracles-cloud-is-not-state-of-the-art/
Gartner MQ Source: https://aws.amazon.com/blogs/aws/aws-named-as-a-leader-in-gartners-infrastructure-as-a-service-iaas-magic-quadrant-for-the-9th-consecutiveyear
※3
出典:リミニストリートのクライアント&リミニストリートのTCO/ROIカリキュレーター for Oracle&顧客の見積もり

  • お客様が支払うオラクルの年間サポート料は604,289米ドルで、これに強制的なアップグレード、アップデート、カスタマイズ、セルフサポートにかかる費用が加わります。
  • Rimini StreetでのIaaSへの移行にかかる実際のコスト サードパーティによるサポートと継続的な年間サポートおよびホスティング費用

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