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正しいクラウド戦略への近道

北川 裕康
< 1 分(想定読了時間)

多くの皆様はクラウドへの移行を検討されていると思います。今、インフラストラクチャからアプリケーションまで、クラウドベンダーや製品の数は爆発的に増加しています。私も前職はWorkdayにおり、クラウドビジネスを関わりました。クラウドの利点は、運用管理にかかわるコスト削減、伸縮可能なスケーラビリティ、ベストプラクティスが迅速に実装されビジネスのイニシアティブをより速やかに提供/有効化する機能などがあります。IT市場調査会社IDCでは、世界のデジタルトランスフォーメーションの支出は20231年までにIT予算の最大50%を消費し、多くの支出はクラウド技術へ行くと予測しています※。国内においても、IT調査会社である株式会社アイ・ティ・アールによると、2018年度のIaaS市場は3,000億円規模になったとのことです※

多くの CIO は、技術や市場が確立されていないなか、どのクラウド テクノロジーに投資するかという決定を迫られています。この選択を間違えば、新しいベンダーロックインにあいます。大事なことは、「テクノロジー」のためにクラウドソリューションを採用するのではなく、成長とイノベーションに対するビジネスの要求に合致していることを確認することです。つまり、「ビジネス」のための選択です。多くのIT部門は、クラウドに移行するに当たって、迅速かつコスト効率の目標を掲げており、次の2つイニシアティブを利用することで、クラウド戦略への近道を得ることができます。

1) ITインフラストラクチャを、オープンで柔軟なクラウドプラットフォームに移行し、飛躍的な拡張性を可能にする

2) ERPなどのコアシステムをクラウド技術で強化し、ビジネスの成長と競争優位性を生み出す

これらの実証された戦略は、クラウドに自信を持って進めるイノベーションの機会を提供します。 また、アプリケーション ベンダー独自のテクノロジー スタックにベンダーロックされないようにし、将来の成長と革新に柔軟に対応できるようにもなります。

ITインフラストラクチャをクラウドに移行するが、慎重にプラットフォームを選ぶ

IT インフラストラクチャをInfrastructure as a Service (IaaS) に移行するには(リフト アンド シフトと呼ばれる)、ビジネス アプリケーション、カスタマイズされた部分、およびインターフェイスをホストされたサービスに移行する必要があります。既存のアプリケーション ライセンスとカスタム コードへの投資を維持し、同じ機能を提供しつつ、アプリケーション ポートフォリオをそのまま維持することで、総所有コストを抑えます (皆さんの代わりに第3者のインフラストラクチャでホストするだけです)。長年にわたって構築したすべてのものを維持し、運用コストを抑えて高速で拡張可能なハードウェアで実行するだけと考えてください。

データセンターをクラウドに移行することは、最も複雑でコスト効率の高いクラウド戦略です。IaaS は、企業がコンピュータ ハードウェアを所有および保守することから可能され、インフラストラクチャを最新の状態に保つことを容易にします。アプリケーション関連への投資のROIを高めることが可能です。また、IaaSは、ITがより柔軟に変更の適応ができるようになり、迅速に変化する俊敏性を提供することで、企業のモダナイゼーションの能力を高めることができます。IaaS で展開して本番に移行する時間は、他のクラウド プロジェクトと比較すると比較的短い傾向があり、予算の節約を実現する可能性があります。

IaaS は社内データ センターより運用コストが低く、ビジネスをはるかに低価格でスケールできる一方で、アプリケーション ベンダー独自の IaaS を使用すると問題が発生する可能性があります。ベンダーのテクノロジースタックと統合するアプリケーションに制限され、新しいベンダーロックに悩まされます。多くのSaaSベンダーは、アプリケーションからプラットフォームへ戦略をシフトしており、ベンダー固有のプラットフォームが乱立し始めており、さらに状況を複雑にしています。

アプリケーション ベンダーの IaaS は、より多くのコストがかかる場合があります。コンピューティング ユニットにベースによる IaaSの価格設定は魅力的かもしれませんが、通常は、クラウド インフラストラクチャの総コストを増大させる二次コンポーネント (ストレージなどのコスト) を反映していなからです。クラウドでアプリケーションを実行するその他の運用ニーズを追加すると、ベンダーのクラウドインフラストラクチャを運用するために、より多くのコストがかかる可能性があります。

アマゾンウェブサービス(AWS)やMicrosoft AzureなどのベンダーニュートラルなIaaSプロバイダーは「幅広いワークロードをサポートできる汎用目的のプロバイダー」であると考えられています。アプリケーションベンダー独自のソリューションは「その他のビジネスの主要なインフラストラクチャ基盤」です。ベンダーに依存しないIaaSを使用すると、ERPベンダーのクラウド・テクノロジー・スタックにロックされるリスクを最小限に抑えることができます。

IaaS に対する既存の永続的なアプリケーション ライセンスの”リフト アンド シフト”により、これらのスキルに関連するタスクの多くがクラウド インフラストラクチャ モデルで自動化されるため、特定の運用スキル (データベース、Web、オペレーティング システムのスキルなど) の必要性が軽減されます。内部のスタッフと予算は、優先度の高いビジネスイニシアチブへの再割り当てのために解放できる可能性があります。IaaS アプローチを採用する場合は、業務とサポートプロセス、人員配置、スキル、予算を見直して、変更が必要な場所を把握し、役割/責任の評価を実施して、変更の影響を特定しましょう。

クラウドテクノロジを使用して既存のエンタープライズアプリケーションを拡張し、ビジネスの成長を可能にする

ほとんどの企業は、高機能で安定したERPシステムの導入に多大な投資を行ってきており、その多くは特定のビジネスニーズを満たす構成やカスタマイズを含んでいます。適切に稼働する場合、これらの自社のビジネスニーズにフィットした ERP は、信頼性の高い堅牢な運用プラットフォームとして機能し、企業は今後も ROI を継続的に確認できます。ERPは貴重なデータを創出して、それをAIやビッグデータによって、ビジネスに活用することもできます。アプリケーション ベンダーの高価な ERP メンテナンス プログラムは、現在、ほとんどの R&D が新しいプラットフォームとリリースに重点を置いているため、付加価値を生むイノベーションを含んでいません。

Gartnerの2019年の世界のCIO 1,000人以上を対象にしたCIOアジェンダ調査※によると、調査対象企業の3%以下しかERPをゲームチェンジャーと見なしていない現実がみえます。以前は、ERPが基幹システムとして、最優先の企業が多かったと思います。特に日本ではこの傾向は強かったと思います。この優先順位の変化は、CIOのビジネス主導のロードマップに含まれるERP投資が少なくてすむ可能性があります。しかし、ERPベンダーのポリシーとサポートモデルへの依存が続いている場合、CIOは成長や競争上の優位性を促進しない可能性のあるERPプロジェクトに対して、限られた予算、リソース、時間を費やさしています。

ERP のコア機能を全く新しいSaaS プラットフォーム (クラウド) に移動することは、ほとんどの企業にとって賢明な動きではありません。SaaS ERP は、それだけでは、ほとんどの企業が成長とイノベーションに対するビジネスの要求に対応できるようにはならないでしょう。さらに、SaaS ERP は、まだ解決されていない機能上と運用上の問題を伴う、進化過程のソリューションです。成熟度の低い、機能の少ないクラウド ソリューションへの本格的な展開のコストは、潜在的に高い成果が得られるクラウド投資を遅らせるか、見逃してしまいます。

ベスト プラクティスは、ビジネスにとって重要なイニシアティブに予算とスタッフを集中させることです。ほとんどの企業は、エッジの周りをクラウド技術で革新しながら、ERPシステムへの投資を維持することを選択しています。

まとめ
ビジネスの成長を可能にする、競争優位性を生み出すことができる最適なクラウドベースの機能を導入し、The Systems of Engagementとして顧客やユーザーを真にエンゲージするシステムを含むことで、クラウド戦略を加速できます。通常、これらのソフトウェアは 、ERP の外部に配置 されるため、クラウドに展開するコストが低い、または導入の時間がかかりません。ただ、この移行には、ERP に強制的に統合されていた機能を置き換える必要があり、アプリケーションの管理が複雑になる可能性があります。一方で、このようなシステムにおける変更は、より頻繁に発生し、より迅速に提供する必要があるため、ERP とは別に対処することで柔軟性と俊敏性も向上します。

※1 長期的な投資先に変わるDX:https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1811/15/news043.html
※2 ITRがDaaS市場規模推移および予測を発表:https://www.itr.co.jp/company/press/200324PR.html
※3 ガートナー、世界のCIO 1,000人以上を対象にしたサーベイ結果を発表:https://www.gartner.com/jp/newsroom/press-releases/pr-20191024

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