SAP ECC6.0ユーザーにとって、2022年は決断の年

代表取締役社長 脇阪順雄
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SAP ECC6.0ユーザーにとって、2022年は決断の年

目次:
2022年が「デッドライン」
プロジェクト開始!まず何をしますか?
意思決定とS/4 HANAにコンバージョンする価値
ECC6.0継続利用で経営資源を作り出す

2022年が「デッドライン」

多くのSAP ECC6.0ユーザーにとっては、2022年は大きな「決断の年」になりそうです。SAP社は、ECC6.0の保守期限を2027年に延長すると発表しましたが、その条件としてEHP6以上が適用されている必要がとしていることから、おそらく、EHP5以下である日本の多くのECC6.0ユーザーにとって、実質的な保守期限は2025年となります。

参考資料を読む:予定されているECC6のメインストリーム保守の終了に対するSAPユーザーの対応

見方によっては、「まだ3年ある」と思われているかもしれませんが、正しくは、「あと3年しかない」というのが事実です。

仮に、皆様がSAP S/4 HANAへのコンバージョンを行うことに納得したとします。その仮説に基づき、2025年までにS/4 HANAを稼働させることを全体に逆算してみましたので、下記の図をご覧ください。

一般的に、2025年を「安心」して迎えるためには、1会計期間は2025年までにS/4 HANAで稼働を要すると予測します。日本の企業の多くの会計期間は4月~翌年3月であることから、そのためには、2025年3月の決算をSAP S/4 HANAで行う必要があり、そうすると、2024年の4月には本稼働することが求められます。SAPもS/4 HANAの価値を出すためには、Brownfield(テクニカルアップグレード)では不十分で、Greenfield(新規導入、データマイグレーション)で行うことを推奨していることはご存じのことと思いますが、今回は一般的に導入期間が短くなるといわれるBrownfieldで線を引いてみました。Brownfieldの場合、10カ月程度のプロジェクト期間と言われることがありますが、これは、導入しているモジュールの数、もしくは、システムの難易度、かつ、アドオンを含む可能兆の大小により前後すると思われます。仮に1年のプロジェクト期間が必要とすると、2023年4月にはプロジェクトを開始する必要があります。

参考資料を読む:S/4HANAの評価:SAPユーザーのための考察(リスクや選択肢について)

プロジェクト開始!まず何をしますか?

さて、2023年4月にプロジェクトを開始するには、皆様の会社ではどのような実務的手続きが必要でしょうか?S/4 HANAコンバージョンには、数億円から数十億円の費用がかかると言われています。この規模のプロジェクトを開始するためには、ほとんどの企業において役員決済が必要ではないでしょうか?そうすると、プロジェクト費用を試算しなくてはいけないのですが、現在SAPエンジニアマーケットは人で不足で、すぐには見積もりをしてくれないSI企業がほとんどというのが実情です。さらに、決済が取れたとしても、現在、これだけのエンジニア不足が問題となっている中で、経験を有するエンジニアを確保しなくてはならず、これを1年間で実行する時間とリソースを含む態勢を皆様は有されておられますでしょうか?

つまり、2022年の早い時期にS/4 HANAへのコンバージョンを決めたとしても、かなり厳しいスケジュールになることは明白です。あくまでも、上記はあくまで試算として1インスタンスのみのことを書いていますので、もし皆様が複数インスタンスをお持ちの場合はさらに厳しいスケジュールになります。また、これはBrownfieldを前提にスケジュールを引いていますが、Greenfieldでやるとするとさらに厳しいスケジュールになることはご理解いただけるかと思います。

意思決定とコンバージョンする価値

では、意思決定をするにあたり、皆様方が悩まれていることはなんでしょうか?私が多くのお客様と話をしている経験からすると、「S/4 HANAにコンバージョンする価値を定義できないために悩んでいる」とお伺いすることが非常に多く見受けられます。SAP社は、DXコアとするためにS/4 HANAを使ってくださいと言っていますが、S/4 HANAにしなければDXは実現できないのでしょうか?多くのソフトウェアベンダーや、システムインテグレーターは「弊社の製品、ソリューション、サービスを使ってもらえれば、DXできるのです」と言っていますが、それは本当でしょうか?弊社にサービスを移管していただいたお客様は、SAP ECC6.0やOracle EBSといったERPを活用されているお客様が多くいらっしゃいますし、その製品を弊社がお預かりしています。CIOの皆様にお話をお伺いしますと、「自社の経営方針にしたがって優先順位を定義し、ロードマップを作成し実行している」と仰られています。もちろん、企業によっては全社プロセスの改革が最優先事項であり、その場合、世界・地域や事業をまたがってプロセスを大幅に改革する必要が出てきます。そうなると、基幹システムの中心であるERPを再構築することは必要であり、S/4 HANAが一番フィットするテクノロジーだと判断をされる会社もあると思います。その場合は、企業の方向性とS/4 HANAへのコンバージョンがマッチしているため、悩まれることはありません。しかし、企業の経営者の判断は10社あれば10社違うわけで、現在の優先順位が全社プロセスの改革ではない企業も多くいらっしゃいます。以下にて、一般的によく語られるDXのテーマと、それを達成するために存在するITテクノロジーをマッピングしてみます。

経営戦略 デジタル技術(例)
全社プロセスの改革 •  全社(グローバル)におけるプロセスの標準化と改革

•  ITというより、全社をあげてのプロジェクト

•  各事業、地域を巻き込んだ活動

•   ERPの更新

•   (ECC6.0のBrownfieldアップグレードでは意味がない)

サプライチェーン改革

 

•  顧客、取引先を巻き込んだサプライチェーン改革

•  顧客、取引先も含めてプロセスの合意が必要

•        SCMソリューション

•        IoT/センサー技術

•        AI

•        GPS/ドローン/ロボット

工場の効率化、省人化

 

•  工場の可視化

•  自動化

•        SFC/MES

•        IoT/センサー技術/デジタルツイン

•        AI

•        ロボット

顧客とのエンゲージメント強化 •  顧客接点の多様化

•  顧客の理解、および、新しい顧客体験の提供

•  ブランディング強化

•        CRM

•        Web/Mobileテクノロジー

•        画像認識 / VR

•        AI

調達改革 •  調達標準化、および、科学的分析により、より安価にアジリティをもって購買を行う •        SRM

•        データ解析、AI

新しいビジネスモデル

 

•  今までに存在しない、新しいビジネスモデルの開発、実行 •        デジタルプラットフォーム

•        開発プラットフォーム(ローコード、ノーコード)

働き方改革

 

•  人事評価制度の改革

•  人事制度改革

•        HCM

•        データ解析、AI

•        オンラインミーティングツール

こうやって見てみると、必ずしもERPのコンバージョンが企業戦略に会ってくるケースは多くないのだと思います。

参考資料を読む:ホワイトペーパー:ビジネス主導型ロードマップで 成果を上げていますか

ECC6.0継続利用で経営資源を作り出す

ECC6.0は、標準的な外部インターフェイスが豊富に用意されていますし、充分に他のソリューションとの連携も可能なように設計されています。皆様の優先順位に従ってDXを進めてみてはいかがでしょうか?そうすることにより、企業は強くなりITの価値が向上することになるかと思います。今こそ、IT部門がコストセンターからプロフィットセンターへと変わるチャンスだと思っています。

SAPユーザーにとって、2022年は「決断の年」になります。もし、決断を先送りすると、仮にS/4 HANAへのコンバージョンをやりたいと思っても、時間もリソースも足りません。しばらくの間、ECC6.0を活用し、自社のプライオリティーがERPの更新ではないのであれば、リミニストリートというオプションがあることを検討に入れていただければと思います。

動画で詳しい解説を見る:2022年は決断の年 SAP そのECCのアップグレード、御社のイノベーションに貢献しますか?

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