激動の時代に勝ち進むための一手、コンポーザブルERPについて徹底解説!

代表取締役社長 脇阪順雄
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年々早くなる変化のスピード

ここ数年、世の中のスピードが10年前と比べても明らかに早くなっているのではないかと思います。いくつかの例を挙げさせていただきますと、1年前に、大国が隣国に対して侵略戦争を起こすと想像できたでしょうか?日本円が、最安で140円/ドルといった極端な円安になると想像できたでしょうか?これらは、遠い世界で起きている話ではなく、我々の住む日本の経済においても、今後大きく影響が出てくる話だと思います。

また、日本は10年前と比べてもそれほど大きく物価が上がっているとは感じないため、忘れてしまいがちですが、日本以外の諸外国では、インフレが大きく進み、世の中のコスト構造は大きく変わろうとしています。

そのような不明瞭な世界においては、サイバーアタック等を実施し不正に利益を得ようとする者が増え続ける中、企業は自らを防御しなければいけませんが、その手口も想像を超える恐ろしい速度で変化しています。

このような速度で劇的に変化する世の中において、今までと同じような「3年の中期計画を立案して、基幹システムの再構築には2~3年かけて」といった、感覚は機能するのでしょうか?日本では、1900年代後半にERPが紹介されました。そのメッセージは、販売から購買、生産、管理会計、財務会計、人事管理が統合され、企業内の情報は一元化して管理されます、といったものでした。しかし、ERPを「ビッグバン」導入すると、中堅企業でも1年、大企業だと3年から5年程度以上の多大な時間と労力が費やされてきました。当時のスピード感からするとそれでもよかったのかもしれませんが、1年先ですら予見することが非常に難しくなっている現在、その必要な速度感に基づくプロジェクト進行と本稼働した際の導入開始時の目標の間には、大きく乖離が生じてしまうこともあり、稼働直後にもかかわらず既に「レガシーシステム」となってしまうリスクがあるのではないでしょうか?

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過去、現在、未来のERP

変化の速度は、1990年代後半から今にかけてその加速を増しています。その中で、ERPのアーキテクチャーも、「モダンERP」と呼ばれる従来型のERPから「ポストモダンERP」へと進化し、さらに近年では「コンポーザブルERP」へと転換すべきであるといわれています。

SAP ERP(R/3やS/4 HANAを含む)や、Oracle EBSを代表とするモダンERPは、販売、購買、在庫管理、生産、財務会計、管理会計、人事管理といった従来からどこの企業にも存在する基幹業務に関しては、完全に統合された形で提供されるようになってきています。そこで考えていただきたいのは、財務会計制度が変化するスピードと、受注管理や、生産管理が変化するスピードの差です。近年、DXが叫ばれる中で、お客様とのエンゲージメントを強化するための手法に各社大きな工夫と変革を求めているかと思います。お客様の嗜好、ご要望も常にスピードで変化をしますので、この変化に対する高度な対応力が必要になります。また工場現場においてはIoTによるConnected Factoryが提唱されると、これもIoT技術の進化に伴い、早い速度で変化をします。モダンERPにおいて、受注や、生産の変化に基づきERPの変更を行うと、その影響は大きく全体に及び、テスト等を考えても大きなプロジェクトになってしまいます。営業部門や生産部門は、変化に対して早く対応したいにも関わらず、ITがその足かせになってしまうケースも発生しています。

この変化の速度に少しでも対応するために、2014年ころより「ポストモダンERP」といった考え方が出てきました。受注から入金までのプロセスを考えますと、例えば私が「あなたの会社のプロセスは、受注→出荷指示→倉庫作業→出荷→売上計上→請求→入金ですか」といった質問をした場合、ノーという人はいません。つまり、この部分のプロセスは普遍的なものだと考えます。そういった普遍的な部分をCore ERPに残し、変化する可能性がある部分は、その外に構築し疎結合をさせようといった考え方です。これは、大手のERPベンダーも同じような発想で開発を行っており、近年では、各社とも開発基盤の提供に力を入れていることは皆様ご存じの通りだと思います。

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コンポーザブルERPの世界とは?

さらに、この考え方が進化し、「コンポーザブルERP」といった考え方が出てきています。ガートナー社は、「コンポーザブルERPは、ビジネスの変化のペースに対応するために、企業の基盤となる管理・運用のデジタル機能を実現する適応性のあるテクノロジー戦略と定義されています。この戦略は、コンポーザブル・アプリケーションのコアと、将来の最新技術に適応するための高度な設定可能で、相互運用性、柔軟性を備えたソフトウェア・プラットフォームをサービスとして提供するものである。(ソース:The Future of ERP is Composable G00723616)」と定義付けています。

コンポーザブルERPの世界においては、それぞれのモジュールは、独立性が高く、他のモジュールに依存せず単体で動作することが可能であり、変化が発生しても、他モジュールへの影響が最低限に抑えられるため、迅速に対応することができます。それぞれのモジュール同士の連携や、データとの連携をつかさどるレイヤーをもち、ユーザビリティの統一を行うために、UXの開発もこのレイヤーで行われます。また、Cloud上にデータを保持し、マルチCloud環境下においても適切にデータを統合します。

このようなアーキテクチャーを採用することにより、1年先を見通すことのできない変化の速度に対応したシステムを実現することが可能になってきます。つまり、それぞれのアプリケーションは、できるだけ小さな単位で開発することにより、もしかすると2~3か月程度のプロジェクトが多く行われ、このアーキテクチャーに基づいてそれを疎結合させていくことにより、今までの数倍から数十倍の速度で変化へ対応させていくことが可能になるのではないかと思っています。私も、多くの企業のIT責任者の方とお話しする機会が多いのですが、このアーキテクチャーは将来のものではなく、すでに先進的な企業においては採用が開始されていることに驚いています。

今後のERPはどのような形になるか

ガートナー社の予測によりますと、「2024年までに、ERPメガベンダーの既存顧客の少なくとも50%が、既存のERPスイートの最新バージョンを自動的に採用するのではなく、複数のベンダーを評価するようになる」としており、これもコンポーザブル ERPのアーキテクチャーを採用する大きな後押しになっているのではないかと思っています。

それではモダンERPを持っているユーザーは、どのようにポストモダンERPへと変革させていくことができるでしょうか?弊社では「Smart Path」として、その道筋を定義しています。例えば、SAP ECC6.0をご利用中の2000社近くの会社を例に考えてみたいと思います。

ECC6.0のユーザーは、2025年、ないしは、2027年でECC6.0の正規保守が終了するという問題に目が行っているのではないでしょうか?もちろん、企業の中には自社の経営目標を達成するためには全社のプロセス改革が必要であり、ERPの刷新が至上命題のこともあるかと思います。そうであれば、プロジェクトを早急に開始すべきだと思いますし、すでにプロジェクト進行中ではないでしょうか?しかし、私がお話を聞く限りでは、「保守が切れるから、何か考えなくては」と後ろ向きまたは受動的な理由の企業が多いような気がします。その場合、ベンダー都合であるERPに保守期限に振り回されることなく、直近の激しく変化するであろう経営戦略へ対応可能なプロアクティブなシステム導入と活用へと目を向けるべきではないでしょうか?

そのためには、時間が必要です。「まず、2025/2027年問題を片づけてから」と言っていると、すでにその段階で数年間のロスが発生してしまいます。弊社のSmart Pathでは「まず、2025/2027年問題をなくしてしまいましょう」というのが、最初のステップになります。弊社へ保守移管いただきますと、現在のバージョンを最低でも15年間はサポートさせていただきます。その中で、「ベンダーに決められた期限に振り回される」ことなく、御社のシステムの変化対応力に持っていただくことができるようになります。コンポーザブルな世界においては、小さく早くプロジェクトを回していくことが大切だと思っています。そのため、次のステップとして、「まず、どこから始めるのか」のプライオリティを定義いただく必要があると思っています。これは、企業にとっては、お客様とのエンゲージメントや、物流の最適化かもしれません。これは、企業によって違い、かつ、そのプライオリティも「5年分決めたから、これでやり切ります」ではなく、フレキシブルに見直していくことも必要になってくると思います。

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弊社の最大手のお客様の1社で、ECC6.0を活用中の米国トップモバイルベンダーの1社である「T Mobile」様に置かれましては、S/4 HANAにビジネス価値を見出せず、5G関連ビジネスへの投資が必要なことであるとの定義づけから、ECC6.0の保守を弊社に委託しました。ちょうどその後、COVID19のパンデミックが始まり、「人と会わずに、必要な製品・サービスを提供する」ためのフレキシブルな物流体制への実現に大きく舵を切られています。これも、2025/2027年問題に引きずられずに、現在の経営課題に合わせた変化対応力を手に入れられている良い例だと思っています。

さて、プライオリティが決まりましたら、そのプライオリティに応じて、コンポーザブルモジュールを採用したり(SaaS型のソリューションなど)、開発プラットフォーム上に開発したりといったプロジェクトが開始されます。このプロジェクトは長期化しないスコープで実現されるべきであり、短期間での本稼働が要求されます。

このプロジェクトが進んでいきますと、従来のコアERPはそのうち消滅する、もしくは、そのまま使い続けるようになるのかもしれません。ただ、変化の必要な部分はコンポーザブルになっていますので、業務部門からの変化要求に対して、迅速に対応する力を手に入れているのではないかと思っています。

このお話は、すでに絵空事ではございません。みなさんもチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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