いま、多くの企業にとって、IBMソフトウェアのサポート終了は単なる保守期限の問題ではなく、IT投資の優先順位そのものを問い直すテーマになっています。2024年から2028年にかけて多数のIBM製品がサポート終了を迎え、なかでも2025年はサポート終了が集中する年として整理されています。対象にはDb2、WebSphere、IBM MQ、Cognos、Informixなど、業務を支える中核製品が含まれます。
つまり、これは一部の技術担当者だけの課題ではありません。CIO、IT部門責任者、運用担当者、そして予算やリスクを管理する関係者が、同じテーブルで向き合うべき経営課題です。
本ウェビナーでは、IBM製品を中心とした基幹インフラソフトウェアのサポート終了がもたらす影響と、アップグレード、Extended Support、第三者保守という選択肢を比較しながら、自社にとって最適なITロードマップをどう描くべきかを解説しました。

本ウェビナーでは、IBMソフトウェアサポート終了の影響と、企業が取り得る現実的な選択肢を整理しました。
IBM製品のEOSは、ITロードマップに直接影響する
サポート終了が近づいたとき、現場で起きるのは「アップグレードするか、しないか」という単純な判断ではありません。計画外の更改費用、複数製品の同時見直し、周辺OSやブラウザとの互換性確認、監査やセキュリティへの説明責任など、判断すべき論点が一気に増えます。
IBM製品を取り巻くサポート終了の状況として、2024年から2028年にかけて72製品がEOSを迎え、2025年だけで43製品が集中して終了するという主要データが示されています。また、Cloud Pak群、MQ 9.2、ELM、Maximo 7.6などが対象として挙げられています。

IBM製品のEOSは、アップグレード、コスト、コンプライアンス、セキュリティに横断的な影響を及ぼします。
出典:
- IBM. “IBM End of Support Announcement Letters”. IBM. https://www.ibm.com/software/passportadvantage/endofsupportannouncementletters, (2026/06/05)
- Origina. “IBM Software Going EOS? Breathe Easy, You’ve Got Options”. Origina Blog. https://www.origina.com/origina-blog/ibm-software-going-eos-breathe-easy-youve-got-options, (2026/06/05)
- Rimini Street. “Third-Party Support for IBM”. Rimini Street. https://www.riministreet.com/solutions/ibm/, (2026/06/05)
- Naviam. “End of Support is Coming: Is It Time to Migrate to MAS?”. Naviam Blog. https://www.naviam.io/resources/blog/end-of-support-is-coming-is-it-time-to-migrate-to-mas, (2026/06/05)
- Responsiv. “IBM EOS Updates 2025”. Responsiv. https://responsiv.co.uk/ibm-end-of-support-what-next/, (2026/06/05)
- ISR Information Products AG. “End of Support IBM Planning Analytics”. ISR. https://isr.de/en/news/am-eos-ibm-planning-analytics-2-0-9/, (2026/06/05)
- Edward Yeates. “Stay Current, Stay Secure: IBM i 7.4 End”. IBM Community. 2025/11/08. https://community.ibm.com/community/user/blogs/edward-yeates/2025/11/08/stay-current-stay-secure-ibm-i-74-end, (2026/06/05)
- SoftwareOne. “Third-Party Software Support for Cost-Conscious Organizations”. SoftwareOne Blog. 2025/09/03. https://www.softwareone.com/en/blog/articles/2025/09/03/third-party-software-support-for-cost-conscious-organizations, (2026/06/05)
- Redress Compliance. “Third-Party Support for IBM Software: A CIO’s Playbook”. Redress Compliance. https://redresscompliance.com/third-party-support-for-ibm-software-a-cios-playbook, (2026/06/05)
さらに、Db2やInformixではContinuing Supportの扱いにも変化があり、旧バージョンをそのまま維持するための選択肢が狭まっている点も重要です。気づいたときには、自社のITロードマップがベンダー都合のアップグレード計画に引き寄せられてしまう可能性があります。
見落とされがちな「サポートライフサイクル」の変化
IBM製品のサポートライフサイクルは、Base Support、Extended Support、Sustained Support、そして完全EOSという段階で整理されています。Base Supportではバグ修正、セキュリティパッチ、新バージョンへのアクセス、技術サポートが提供されますが、EOS後は有償のExtended Supportへ移行し、その後のサポート内容はさらに限定的になります。

サポート段階が進むほど、提供内容は限定的になり、コスト負担や運用リスクの見極めが重要になります。
出典:
- IBM. “IBM Software Support Lifecycle Policy”. IBM. https://www.ibm.com/support/pages/lifecycle/, (2026/06/05)
- IBM. “IBM End of Support Announcement Letters”. IBM. https://www.ibm.com/software/passportadvantage/endofsupportannouncementletters, (2026/06/05)
特に注意すべきなのは、Extended Supportが必ずしも抜本的な解決策ではないという点です。本ウェビナーでは、Extended Supportは標準保守の1.5〜2倍のコストが発生し、2年目以降は既知修正のみになると整理されています。つまり、一定期間の猶予は得られる一方で、コスト負担とサポート内容の制約を冷静に見極める必要があります。
サポート終了がもたらすリスクは、技術面だけではない
サポート終了による影響は、単にパッチや修正が受けられなくなることにとどまりません。本ウェビナーでは、セキュリティリスク、コンプライアンスリスク、コスト増大リスク、運用リスクの4つが整理されています。新規セキュリティパッチや修正が提供されないこと、既知の脆弱性が放置されること、監査や規制対応上の懸念が生じることは、企業にとって無視できない論点です。

EOSは、セキュリティ、コンプライアンス、コスト、運用の各領域に影響します。
一方で、サポート終了を理由にすぐアップグレードすればよい、というわけでもありません。基幹インフラソフトウェアのバージョンアップは、周辺アプリケーション、データベース、データ統合ツール、OS、ブラウザなどとの互換性確認を伴います。その結果、夜間バッチ、データ連携、DWH、業務開始までのプロセスに影響する可能性もあります。
「動いているから後回し」にしてきた領域こそ、見直しどき
IBM製品をはじめとする基幹インフラソフトウェアは、「長年安定して動いている」「止められない」「業務に深く根付いている」といった理由から、ERPなどと比べて優先順位が下がり、コスト削減や業務改善の検討対象にならないまま放置されがちです。
しかし、EOSや延長サポート終了を背景に、保守契約の継続やコストの妥当性をあらためて検討する企業が増えています。安定稼働しているからこそ、無理な更改ではなく、現行環境をどう安全に維持し、浮いた予算をどこへ振り向けるかを考える余地があります。
リミニストリートが提案するのは、メーカーが決めるEOSだけに縛られず、ユーザー企業自身がアップグレードの要否とタイミングを判断するという視点です。講演資料でも、ユーザー主導のITロードマップを実現し、アップグレードよりも業務に貢献できるプロジェクトへ時間、予算、要員を振り向ける考え方が示されています。

EOSを契機に、ベンダー主導ではなくユーザー主導のITロードマップを描く視点が重要です。
選択肢は、アップグレードだけではない
サポート終了に直面した企業の選択肢は、大きく3つあります。最新バージョンへのアップグレード、IBM有償延長サポート、そして第三者保守です。アップグレードは最新機能やフルサポートを得られる一方で、ライセンス、移行、テストを含む高いコストや長期プロジェクト化のリスクがあります。
Extended Supportは、短期的に現行環境を維持しながら時間を確保する選択肢になり得ます。ただし、本ウェビナーでは標準保守の1.5〜2倍のコスト、限定的なサポート内容、期限到来時に再度判断が必要になる点が示されています。
第三者保守は、安定稼働中の環境を維持しながら保守費用を最適化し、自社のITロードマップを優先しやすくする選択肢として整理されています。リミニストリートの第三者サポートは、年間保守費用を約50%削減しながら、安定稼働中の環境を維持する現実的な選択肢として位置づけられます。

アップグレード、Extended Support、第三者保守は、それぞれコスト、期間、リスク、適合ケースが異なります。
保守費用を見直し、次のIT投資へつなげる
重要なのは、保守費用を単なる固定費として払い続けるのではなく、企業のIT戦略全体の中で再評価することです。安定稼働している基幹インフラを無理に更改するのではなく、必要なサポートを確保しながら、コストを最適化し、浮いた予算をIT運用の改善、DX、AI、データ基盤の刷新など、より戦略的な領域へ振り向けるという発想が求められます。
そのための第一歩は、自社で利用しているIBM製品ポートフォリオの棚卸しです。製品、バージョン、EOS日、現行の年間保守費用、利用頻度、業務重要度を把握し、アップグレード、Extended Support、第三者保守のどれが最適かを比較できる状態にしておくことが重要です。

まずは現状把握から始め、リスク評価、選択肢比較、実行計画へと進めることが重要です。
IBMサポート終了は、技術問題ではなく経営判断
IBM製品のEOSは、単に「古いバージョンをどうするか」という技術問題ではありません。ベンダー主導のアップグレードが自社のITロードマップを歪める可能性、Extended Supportが高コストな時間稼ぎにとどまる可能性、そして第三者保守によって自社主導のIT戦略を実現できる可能性を、経営視点で比較する必要があります。

EOS対応は、コスト、リスク、IT投資配分を見直すための経営判断です。
すでにEOSを過ぎている製品があるかもしれない。更改方針が決め切れていない。保守費用は重いが、無理なアップグレードは避けたい。こうした課題が少しでもあるなら、まずは現状を可視化し、選択肢を比較できる状態にすることが、これからのIT運営における大きな差になります。
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本記事でご紹介した内容は、オンデマンドウェビナーで詳しく解説しています。IBM製品を中心とした基幹インフラソフトウェアのEOSや延長サポート終了を前に、「保守費用をこのまま払い続けるべきか」「本当にアップグレードが必要なのか」「第三者保守という選択肢をどう評価すべきか」と感じている方は、ぜひご視聴ください。
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